2006年7月 3日 (月)

摩嶋松南『娯語』

娯語 四卷 摩嶋松南著
 本書は其自序に、娯語とは何ぞや、自ら娯むなり、自ら説き自ら娯む、或は學術を論し、或ば雜事を記す、得るに隨つて之を録す、固より序次なし云云とありて、學事あり、史談あり、感慨あり、讀者をして趣味津々たるを覺えしむ。所收本は、天保十五年の刊本による。
 著者松南は名は弘、字は子毅、京都の人なり。若槻幾齋及び猪飼敬所に學ぶ。天保十年に歿す、年四十九。著す所、尚書説、論語説等あり。
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冢田大峯『解慍』

解慍  一卷  冢田大峯著
 本書は君道臣道を論じ、賢能の士の登庸せられざるを歎じたる者にして、十解に分てり。開卷の小序に云、凡そ先王の道を學ぶもの、既に自得する所あれば、則ち王侯の爲に用ひられて、以て之を國家に行はとん欲するなり。而るに未た嘗て用ひられざれば、則ち慍怫あるを免れす。虎亦未だ君子たる能はず、則ち慍せざるを得ず、因て解慍を述べて、以て南風の薫を仰ぐと云と、以て述作の意の在る所を知るべし。本書は安永四年、大峯三十一歳の時の作なり。所收本は安永年間の刻本による。
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2006年7月 2日 (日)

冢田大峯『隨意録』

隨意録  八卷  冢田大峯著
 本書は經子史傳文藝より俚言俗事に、至るまで、見聞する所,感する所、逐次之を筆録せる者にして、記事博雜多樣なり。本書第八卷に、虎也今年八十三、獪業讀書。の文あり、又季子愿の跋に、文政己丑の春、剞〓工成る、然れども翁今年八十五、耳目猶全く、日夜筆研を離れず、孳々汲々たり、則ち豈今より其録する所幾十倍なるを識らんや云云と。其の老いて益々壯なりしを知るに足れり。所收本は文政十二年の刊本による。
 著者大峯は名は虎、字は叔貔、通稱は多門。信濃の人なり。初め父に學びて程朱の學を奉せしが、後自ら古今の書を研究し、一家の見を立つ。紀尾兩侯その門に學ぶ、寛政異學の禁の令あるや、上書して其不可を論ず、言極めて激切なり。後、尾藩の明倫堂督學に擢んてらる。天保三年に歿す、年八十八。冢註論語、論語群疑考、冢註六記、孟子斷、荀子斷、聖道合語、聖道辨物等、著述多し。
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尾藤二洲『擇言』

擇言 一卷寫本 尾藤二洲著
 本書は理氣體用其他修養上の説を記せる語録なり。著者の小序に、感あれば輙ち記す、初を素餐と曰ひ、次を擇言といふ云云。素餐録の續編として、并せ讀むべきものなり。
所收本は明遠館叢書本を底本とし、外數種の寫本を參稽して校訂したり。
 著者二洲は伊豫の人、名は孝肇、字は志尹、昌平校の教官たり。其學程朱を宗となす。文化十年に歿す、在六十九。正學指掌、素餐録、冬讀書餘、靜寄餘筆等の著あり。
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五井蘭洲『瑣語』

瑣語  二卷  五井蘭洲著
 本書は學事史談、其他見聞の雜事を録し、且つ感想を述べたる者にして、警拔にして妙趣あり。下卷春和陽舒の章の如き、其感慨の一端を見るべし。中井竹山の跋に云、高卓瀟洒、警發の益多しと。適評と謂ふべし。所收本は明和四年の刊本による。
 著者蘭洲は大坂の儒者なり。名は純禎、字は子祥。其學程朱を以て宗とす。寳暦十二年に歿す、年六十六。非物篇、質疑篇、考槃堂漫録等の著あり。
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伊藤東涯『間居筆録』

間居筆録  四卷寫本 伊藤東涯著
 本書は東涯晩年の稿に属し、其嗣東所の編次校訂に係り、(序文參照)上中下三卷、及ひ拾遺一卷より成る。本篇は主として道義學事を論し、拾遺は讀老子、觀梵書の二篇にして、前者は老子林註の儒書を以て老子を解せるを斥し、後者は宋儒の性理説と佛教との類似點を擧げ、宋學の孔子の道に異なるを論せり.
 所收本は伊藤家の所藏に係る東所校訂本に據りたり。而して同家當主伊藤顧也氏の好意により、本叢書に收めて刊行するを得たり。謹んで感謝の意を表す。
 著者東涯は名は長胤、京都の人にして、仁齋の長子なり。博覽強記、能く家學を紹述し、著述極めて多し。元文元年に歿す、年六十七。

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2006年6月28日 (水)

古賀侗菴・泣血録

泣血録 一卷 寫本 古賀侗菴著
  本書は古賀精里の病中及び歿時の日録にして、交友門人等の來訪、病症醫療の状況等に就て詳録せるものなり。本書によりて、精里の思想人格の一斑と、侗菴の至孝とを窺知するを得べし。

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伊藤東涯・先游傳

先游傳 二卷 寫本 伊藤東涯著
  本書は伊藤仁齋の知友及び門人計七十九人の略歴を叙述せるものなり。享保十四年の自序あり。
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原狂齋・藝海蠡附狂齋銘

藝海蠡附狂齋銘 一卷 原狂齋著
  本書は其の著原子より、特に作詩作文の大旨を叙述せる、周詩知言の二篇を抄出し、附するに狂齋銘を以てせるものなり。(原子は續日本儒林叢書第二冊解説部第一に收めたり。)
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長野豐山・松陰快談

松陰快談 四卷 長野豐山著
 本書は人物の評論より、詩文、書畫筆墨、共他雜事に渉りて記述せる隨筆なり。文政三年の自序あり。著者豊山は名は確、字は孟確、伊豫の人なう。初め中井竹山に學び、後尾藤二洲に從遊す。人となり狷介、世に媚ぶる能はす、忠を得すして終る、而も文名一世に高かりき。天保入年に歿す、年五十五。著す所、武乘、詩約、文約等あり。
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